医学・看護学教育センター
Education Center
for Medicine and Nursing
2024年度 第1回 輪読会を終えて
去る、4月25日(木) 16:20~、2024年度 第1回 輪読会が開催されました。今年度は新入生の文献検索の実技実習及び輪読会のオリエンテーションが5月21日と遅いため、2年生以上しか来られないことを想定した上で、敢えて早い日程で開催しました。
今回の発表者は、3名で、そのうち2名は、この夏、アメリカ、ジャクソン研究所への派遣留学が決まった4年生で、向こうでのプレゼンテーションを見据えて、英語での発表および質疑応答の練習になると、立候補してくれました。初めに辻川碧乙さんは、Ishimoto T et.al. Activation of Transforming Growth Factor Beta 1 Signaling in Gastric Cancer-associated Fibroblasts Increases Their Motility, via Expression of Rhomboid 5 Homolog 2, and Ability to Induce Invasiveness of Gastric Cancer Cells. Gastroenterology. 2017 Jul;153(1):191-204 を紹介してくれました。CAFが、がん細胞の浸潤転移に大きな役割を果たしており、そこに働く因子が何かを明らかにした、非常に興味深い論文でした。辻川さんがこれから取り組む研究にも関連しているとのことで、よく理解したうえで、流暢な英語で分かりやすく解説してくれました。質疑応答への対応もしっかりとできていました。
二人目は4年生の高橋諒多さんで、Sujino T et.al. Tissue adaptation of regulatory and intraepithelial CD4⁺ T cells controls gut inflammation. Science. 2016 Jun 24;352(6293):1581-6. という論文の紹介を、英語で発表してくれました。抹消組織のT cell と内皮CD4+Tcellが補完的に腸の炎症にかかわることを、遺伝子に誘導をかけたマウスからの細胞をFlow cytometry analysisを駆使して明らかにした論文で、やや煩雑な手法や背景もわかりやすく説明してくれました。
三人目には6年生の吉村碧さんが、Megli CJ, Coyne CB. Infections at the maternal-fetal
interface: an overview of pathogenesis and
defence. Nat Rev Microbiol. 2022 Feb;20(2):67-82. というreviewを低学年にもわかりやすいよう、背景の説明も入れて紹介してくれました。臨床研究の倫理的側面からの難しさや、動物実験との乖離、新手法への期待等、端的に示し、問題提議にもなったのではないでしょうか。
最後に、論文Abstract の読み合わせを行いました。Mitochondria metabolism sets the species-specific tempo of neuronal development Ryohei Iwata et al. Science 379, eabn4705(2023) という、Abstractとしては平易な言葉でわかりやすいものを選びました。コツを掴めば、論文の斜め読みができるようになると思います。論文を読むハードルを下げる役割を果たすべく、今後も続けていきます。
参加者は、発表者のほかに1年生2人、2年生4人、3年生1人、5年生1人、留学生(大学院生)1人、更に、オブザーバーとして、伊藤先生、景山先生がご参加くださいました。文頭に示した理由で、1年生の参加者は見込めないものと思っていましたが、2名参加してくれて、熱心に聞き、質問もしてくれたことは今後の輪読会にとって頼もしい限りです。学生さんの期待に応えられるよう、今後の輪読会を、より良い形で開催できるよう努めてまいります。
文責:谷浦
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