医学・看護学教育センター
Education Center
for Medicine and Nursing
🟨⚪🩺2025年度地域医療重点コース第1回学生交流会🩺⚪🟨
【地域医療重点コースとは】
昨今、地域医療の拡充が求められる中、本学では「滋賀県における次世代のリーダー育成」を掲げ、地域医療に重点をおいた教育を進めています。なかでも「地域枠」入試制度で入学した学生は「地域医療重点コース」に在籍し、「地域のリーダーを育成する」ことを目標に未来の滋賀県の地域医療をけん引する学生が在籍しています。在学中から卒業後にかけて、通常の学生と比較してより手厚い学修支援とキャリア形成を積むことができるコースで、地域医療に特化した科目の履修推奨や、滋賀県庁、県内の保健所、地域医療教育拠点病院での見学実習など、低学年から地域医療に触れる機会を多く設けています。また、専任医師による定期的な面談、先輩医師の講演会などを通じて、早期から卒業後のキャリア形成を見据えた支援を行っています。
総勢76名が在籍する当コースの交流会が、令和7年6月13日(金)に開催され、1~4年生の学生50名が参加しました。コース責任者で当センターの向所先生が、「コーチングスキルを用いて考えるリーダー像」と題して講義をしました。ストレスに対してのセルフマネジメントの大切さやリーダーにとって傾聴が重要であることなど、リーダーとしての資質に関することを教授し、グループワークで事前課題である「あなたはどのようなリーダーを目指しますか?」を談論しました。他の人の意見を聞くこと、また自分の意見を発言することで自身の中で考えがまとまっていきます。学年を超えて交流を深め、活発な意見交換を行い、多様な視点からの学びとなりました。
続いて、先輩医師から初期研修での体験紹介がありました。現在、長浜市立湖北病院で総合診療に従事されている糸井拓哉先生は、初期研修で「地域医療重点プログラム」を選択されていました。
糸井先生が初期研修中、プログラムで地域医療について培った知識を活かし、地域の患者さんならではの環境を鑑み、患者さんの状況に合った対応ができたお話しなど実体験に基づいたお話をいただきました。初期研修を地域医療で体験する利点や特徴を知る貴重な時間となりました。先生の人柄もあり、時には笑いも起きる和やかな時間となりました。
3年生の荒木泰人さんから自治医大生との夏季地域医療実習の紹介、滋賀県医師キャリアサポートセンターからは今後のイベントの紹介がありました。在籍者は、さまざまの情報を得ることもでき、有意義な時間となりました。
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2025年度 第2回 輪読会を終えて
去る、6月12日(木) 16:20~、2025年度 第2回 輪読会が開催されました。
最初に、論文Summary の読み合わせを行いました。今回は、構成が典型的で平易で身近な最近の話題であることから、Kim Ket.al. Meningeal lymphatics-microglia axis regulates synaptic physiology. Cell. 2025 May 15;188(10):2705-2719.e23. doi: 10.1016/j.cell.2025.02.022. Epub 2025 Mar 21.を取り上げました。話の展開を示すWordは頻出するものなので、これから論文を読むときの参考になればと思います。
今回の発表者は、2名で、一人目は3年生の竹村舞織さんがJi X. et.al. Deficiency in Lyst function leads to accumulation of secreted proteases and reduced retinal adhesion. PLoS One. 2022 Mar 3;17(3):e0254469. doi: 10.1371/journal.pone.0254469.を英語で発表してくれました。竹村さんはこの夏、2か月間留学することが決まっていますが、今回発表してくれた論文は、留学先の研究室の論文で、ラボの紹介と英語での発表・質疑応答の演習を兼ねて英語での発表にトライしてくれました。1年生にもわかりやすくするため、言葉を選び、工夫を凝らして、流暢な英語での発表でした。質疑応答は日本語でも受け付け、内容を確認しました。司会者も含め英語力を高めて、このような英語での発表の場を増やしていければよいと思います。
二人目は4年生の山本哲哉さんでWassiliwizky E. et.al. The emotional power of poetry: neural circuitry, psychophysiology and compositional principles. Soc Cogn Affect Neurosci. 2017 Aug 1;12(8):1229-1240. doi: 10.1093/scan/nsx069. を発表してくれました。詩の朗読が脳に与える影響を客観的にとらえるために、表情筋の動きや脳波、また、被検者の感情を数値化し集計するという試み自体がユニークで興味あるものでした。多くの人には初めての分野であったと思いますが、皆、熱心に聞いていました。
奇しくも、昨年の同時期の輪読会で本日発表の二人が発表してくれていました。それぞれに学年が上がって、プレゼンテーションもよりうまくなっていて、1年の成長を感じさせてもらいました。参加者は、発表者のほかに1年生11人、2年生5人、3年生4人、4年生1人、5年生1人と計24人で、過去最高タイでした。最後に感想を一人一言ずつお願いしたのですが、英語力を高める必要を感じたというのが最も多い意見でした。また、論文を批判的な目で見て読むのが大事だと感じた、これから論文をたくさん読んでいこうと思ったという人もいました。山本さんの発表に対しては、初めて聞く分野で興味深かった、輪読会で取り上げる範囲が広いことで自分にもできそうな気がしたといった意見が出ました。実際に、次回の輪読会の発表には既に2人が立候補してくれています。ますます盛り上げていけるよう尽力したいと思います。
輪読会の開催にかかわってくださった多くの方々に感謝し、この場を借りてお礼申し上げます。
文責:谷浦
2025年7月30日(水)16時00分から昨年度、
⭐詳細⭐
★日 時 2025年7月30日(水) 16時00分~17時20分
★場 所 A講義室(基礎講義実習棟2F)
★内 容
・医学科カリキュラムに関する説明(約45分)
当センター 向所教授
🚩お問い合わせ先:学務課学生企画係 【TEL】 077-548-3597
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2025年度第1回技術セミナーを終えて
技術セミナーは年3回開催し、基礎研究の実験に必要な実験手技を体験いただくセミナーとなっています。2025年度初回の第1回には計17名の学生さん(1年生11人、2年生6人)が参加してくださいました。
今回のセミナーでは、マイクロピペットの使い方を学んでいただき、それを利用したタンパク定量を用いて未知の濃度の溶液の濃度を予想するという「基礎のき」と言える内容で開催させていただきました。参加してくださった学生さんたちは、みなさん非常に真剣に取り組んでいて、いい結果が得られた人も失敗してしまった人も実験を楽しみながら受講していただけました。残念ながら失敗してしまった学生さんの中には「どこどこの手技で大きくずれてしまったと思います」など、失敗に至った原因を自分なりに考察してくださる人もおり、今後どんどん実験が上手くなる素質を感じさせてくれました。また受講後アンケートでは、「初めて実験器具に触れ、緊張した」や「使ったことのない機材を使用できて楽しかった」などフレッシュな感想をいただき、我々も初心を思い出せるようなセミナーにできたのではないかと思っています。
90分という非常に短い時間ではありましたが、少しでも「基礎研究って面白そうだな」と思うきっかけになればと思っています。第2回、第3回では、DNAや個別のタンパク質の定量実験を行う予定としており、数日をかけたより実際に近い内容を予定しています。ぜひ次回以降も参加いただければと思います。
また、今回の技術セミナーは、学務課および医学・看護学教育センターの方々、特に前任者である谷浦先生の手厚いサポートのもと、無事開催することができました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
文責:前川毅
2024年度 第3回 技術セミナーを終えて
研究の基礎、特にタンパク質の扱い方を習得する第3回技術セミナーを、春休み期間である2~3月に、5回開催し、研究医コースの6名の学生(1年 5人、2 年 1人)が参加してくれました。昨年同様、2日で行うコースと1日目の工程を2日に分けて行う3日コースで募集をかけましたが、今年は全て2日コースを希望され、1日目の長い過程を皆さん、難なくこなされました。また、希望が分散したこともあり、1回のみ2人でしたが残りの4回は1人ずつの受講となりました。
実験内容は昨年と同様、培養細胞のcell lysate の調製とタンパク定量、そして、それらを用いてSDS-PAGE からWestern Blotをおこなうというものでした。更に、2日目の余白で行う実験として、細胞培養の体験か臓器のスライドのH-E染色かを選んでもらいましたが、一人が細胞培養を希望され、残りの方はH-E染色を希望されました。また、第2回技術セミナーのリベンジ実験として、細胞培養からのRNA精製、RT-PCR、cDNAの特定配列の増幅を2日目に加えて、更にH-E染色も行うという盛りだくさんの実験をこなした学生さんもおられました。
全員が、各工程を問題なくスムーズに進めることができ、Western Blot で得られた結果も、美しく、数値的にもほぼ予想通りで、大成功でした。待ち時間には、実験を失敗しない工夫などを講師の実体験からお話したり、動物実験により犠牲になる動物への思いを語り合ったり、少人数ならではの和気あいあいとした雰囲気の中、無事全工程を終えることができました。
受講後アンケートでは、全員が初めて知ることが多く興味深かった、説明と資料はわかりやすかったと回答してくれ、今後の研究に役立つと思うかとの問いには、大いに役立つと思う、ある程度役立つと思うと答えてくれました。後輩にこの技術セミナーを勧めたいと思うかについては、是非勧めたいが5人、勧めてもよいと思うが1人で、その理由としては、
と答えてくれました。
またセミナーへの感想を問うと、
と大変うれしく励みになる言葉をいただきました。2025年度は新任の前川先生が主体的に開催してくださることになりますが、兼任として、これからもサポートさせていただきます。
今回も、無事執り行えたのは、学務課の方をはじめ、皆さまのおかげです。
深く感謝申し上げます。
文責:谷浦
「学内で地域医療の体験ができる」課外授業シリーズ2025 第一弾!を開催します。
詳しくは、下記をご確認ください。
🔵🔵第一弾🔵🔵
🔵日 程:2025年7月2日(水)16:30~ 18:00
🔵講 師:訪問看護ステーションゆげ
🔵対 象:滋賀医科大学医学科・看護学科学生、研修医
🔵申 込:WebClassから申し込みをしてください。
WebClass→「学内で地域医療の体験ができる」課外授業シリーズ→
2025年度 第一弾!雨森千恵美先生→6/30_13時締切 参加申し込
受付は6/30(木)13:00まで
是非ご参加ください。
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2025年度 第1回 輪読会を終えて
去る、4月24日 (木) 16:20~、2025年度の 第1回 輪読会が開催されました。
今年度からは場所を第1講義室に戻し、たくさんの人が参加してくれることを期待しました。残念なことに1年生はTOEFL(ITP) と重なってしまい、数人が参加希望を出してくれたにもかかわらず参加できませんでした。それでも、2年 6人、3年 6人(うち1人は研究医養成コース外)、の計12人が参加してくれました。これは年度初回としては過去最多人数です。
最初に、論文Abstract の読み合わせを行いました。今回は、ごく最近、一般ニュースで取り上げられた、iPS細胞由来のdopamine作動性細胞がパーキンソン病に対する治験のphase I/II で安全性と有効性が認められたというNature に載った日本人の論文を取り上げました。
今回の発表者は2名で、一人目は2年生の細井克馬さんが、Luczak-Sobotkowska ZM et.al. Tracking changes in functionality and morphology of repopulated microglia in young and old mice. J Neuroinflammation. 2024 Oct 3;21(1):248. を発表してくれました。紹介に先立って、ミクログリアについてわかりやすく解説を加えてくれたこと、また本文も要点を抑えて簡潔にわかりやすくまとめてくれたこと、スライドがイラストにより非常にわかりやすくなっていたことなどから、専門的な統計の解析が多数出てくる非常にレベルの高い論文であるにもかかわらず、みんなが理解できたことと思います。
二人目は3年生の團野美優さんが、Li Y et.al. IGHG1 induces EMT in gastric cancer cells by regulating TGF-β/SMAD3 signaling pathway. J Cancer. 2021 Apr 19;12(12):3458-3467.を発表してくれました。実際には中国の臨床データを引用していたのに対し、日本における胃がんの罹患率・死亡率を調べて差し替えたり、用語を2年生にもわかるよう説明を加えたり、研究手法にコメントやイラストをつけて視覚に訴えたりと様々な工夫で分かりやすく解説してくれました。明瞭な声質、適度なスピードも相まって非常にわかりやすい発表でした。
最後に参加者に感想を聞いたところ、まだあまり学術論文に接していないが、これから積極的に論文を読んでいこうと思った、人にわかりやすく話すことやわかりやすいスライドづくりが勉強になった、などの意見を聞くことができました。また発表者の2人は、「今回発表するにあたって、調べることが多く、それらが有益であり、ただ論文を読むのと発表するのでは大きな違いがあることに改めて気づきました。」と答えてくれました。
輪読会は貴重な発表および質疑応答の機会です。これからも多くの人に参加してもらえるよう、工夫していきたいと思います。
輪読会の開催にかかわってくださった多くの方々に深く感謝申し上げます。
文責:谷浦
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