医学・看護学教育センター
Education Center
for Medicine and Nursing
2022年10月13日 / イベント
2022年度 第2回 技術セミナー
研究の基礎、特にタンパク質の扱い方を習得する第2回技術セミナーを、夏休み期間である8月後半から9月にかけて5回開催し、研究医コースの14名の方(1年 5人、2 年 8人、3年1人)が参加してくれました。参加者が去年を大きく上回ったことを嬉しく思います。
今年は、一通り自分でやってみることに重点を置き、グループで見て終わり、ではなく、自ら手を動かせるよう、人数分のゲルを用意するなど、より実践に役立つセミナーを目指しました。また、参加しやすいよう、ほぼ同じ内容を2日で行うコースと3日で行うコースを設け、選んでもらいました。タイトなスケジュールをカバーするため、予め資料として方法・操作説明を動画としてWeb Classに上げ、参加前に事前学習をお願いしました。
実験内容は昨年と同様、培養細胞のcell lysate の調製とタンパク定量、そして、それらを用いてSDS-PAGE からWestern Blotをおこなうというものでした。はじめのグループは、日程調整がつかず4人で行ったこともあり、時間がかかってしまい、人数が多すぎたとか、セミナーが長いと感じたという、感想を頂くような状態になってしまいました。しかし、その後のグループは、各工程、問題なくスムーズに進みました。こちらの都合で時短や午後開始をお願いしたグループもありましたが、快く受け入れてくれて、無事行うことができました。得られた結果も、ほとんどが見た目も美しく、数値的にも予想通りで、大成功だったと思います。今年は、時間を調整して、一人一人に、クリーンベンチ内での無菌操作を行っての培養細胞の継代を体験してもらいました。また、ノートの書き方、ノートの重要性について語ったり、秤量時の注意や少量の秤量の仕方などを具体的に紹介したり、実験を失敗しない工夫などを講師の実体験からお話したりと、今後に役立ちそうな話題を織り込んでみました。少人数ならではの和気あいあいとした雰囲気の中、無事全工程を終えることができました。
受講後アンケートでも、楽しかった、興味深かった、今後の研究に役立つと思う、特に無菌操作は、見ているよりもずっと難しく、よい経験ができた、との意見を多くの方から頂きました。
コロナ第7波の影響が懸念されましたが、無事執り行えたのは、学生課の方々など、皆さまのおかげと感謝しています。
第3回技術セミナーは、春休みに、興味を持ってもらえるような内容で開催したいと思っています。
文責:谷浦
2022年9月6日 / イベント
2022年度第2回輪読会を終えて
今年度2度目の輪読会は、夏休み期間の開催であったことから、参加者が集まるかどうか懸念され、緊急アンケートを行って、10名以上の参加を見込めたことで開催にこぎつけました。実際には当日参加の方も含め、14人が参加してくれ、活発な討論も行われました。1年から4年まで、すべての学年が参加してくれたのがよかったと思っています。
前回に続き、最初に司会者の方から、Abstract の読み合わせを提示させていただきました。わかりやすい英文だったので、解説なしに理解できた人も多かったのではないかと思います。学生さんの意見も聞きつつ、続けていこうと思っています。
発表は、4年生のお二人でした。はじめに、徳田裕人さんが、今年の7月にSciencに発表されたばかりの論文 “Connectomic comparison of mouse and human cortex” を紹介してくれました。コネクトーム研究による解析をマウスとアカゲザル、ヒトの種間で比較したもので、マウスとサルやヒトの脳の大きさ(ニューロンの数)には大きな違いがあるが、錐体細胞への入力量には大差なく、双極ニューロンの抑制性入力が増加、殊にIN-to-IN ネットワークが増加していて、この回路の転換が進化のカギになっていることが示唆されたという報告でした。これまでに分かっていそうで、その真相がはじめて明らかになった、非常に興味深い、また科学の深淵を顧みたような論文の膨大なデータをわかりやすく発表してくれました。
2人目は昨年の発表に続いて吉村碧海さんが、その続編となる研究結果、JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY の“PD-L1 and PD-L2 Ge
netic Alterations Define Classical Hodgkin Lymphoma and Predict Outcome” を紹介してくれました。これは、これまで解析が難しかった古典的ホジキンリンパ腫におけるPD-L1及びPD-L2 変異につい
て、FISH法を用いるこことで詳細に調べた報告でした。この報告によりPD-1を介して免疫逃避をするリンパ球系の悪性疾患の特定につながり、再発を繰り返したり導入療法に反応しなかったりという古典的ホジキンリンパ腫の中でも重篤な患者に、新しい治療法の
福音をもたらす可能性を示唆する報告であったと思います。低学年の人にもわかるような、丁寧な発表が印象的でした。
発表の後には、それぞれの演者に対して多くの質問がなされ、それらは、論文の理解をさらに深めることができる良い質問ばかりでした。
こうして、夏休みに集まってくれた学生さんたちは有意義な時間を過ごしてくれたものと自負します。
2学期以降の輪読会では、決して敷居を高くしてしまわず、低学年でも積極的に参加できる輪読会を目指しつつも、高学年にも楽しんでもらえる内容の濃い会にしていきたいと思います。
2022年8月3日 / イベント
🙋♂️医学部学生の皆さんを対象に第2回輪読会を行います。
※事前参加申し込みいただいた方だけでなく、当日参加も大歓迎です。
【概 要】4年生2人による文献紹介・発表
【開催日時】2022年8月9日(火)16:30~18:00
【場 所】第1講義室(一般教養棟2階)
【発表者と発表論文】
🚩4年生 吉村 碧海さん
:Roemer MG, et. al. PD-L1 and PD-L2 Genetic Alterations Define Classical Hodgkin Lymphoma and Predict Outcome. J Clin Oncol. 2016 Aug 10;34(23):2690-7. doi: 10.1200/JCO.2016.66.4482. Epub 2016 Apr 11. PMID: 27069084; PMCID: PMC5019753.
🚩4年生 徳田 裕人さん
:Loomba S, et.al. Connectomic comparison of mouse and human cortex. Science. 2022 Jul 8;377(6602):eabo0924. doi: 10.1126/science.abo0924. Epub 2022 Jul 8. PMID: 35737810.
【備 考】:発表論文に目を通し、必要に応じてWebClassよりダウンロードして当日お持ちください。スライド資料は当日配布する予定ですが、論文は配布いたしません。研究医養成コース登録の学生の方は、WebClassよりご覧ください。
🎈研究医養成コース登録学生ではない方はこちらから👇
📕 吉村 碧海さんの発表論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5019753/
📕 徳田 裕人さんの発表論文
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo0924?cookieSet=1
※広く医学科の皆さんに参加していただき、活発な発表の場としたいと思います。
2022年7月27日 / イベント
2022年度【研究医養成コース】第2回技術セミナー
「テーマ:実験の基礎 ‘実験の基礎 タンパク編’」を開催します。
研究医養成コースに在籍する学生を対象に開催します。
多くの申し込みありがとうございました。
今回もたくさんの学生さんに体験していただきます。
⭐詳 細 ⭐
◆対象者:研究医養成コースに在籍し、セミナー受講を希望する学生
◆内 容:
・実験ノートの書き方
・タンパク質の取り扱い
・培養細胞からLysate 調製
・タンパク定量
・SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の原理と手法
・Western Blotの原理と手法
・検出したバンドの解析
・細胞培養 無菌操作体験 細胞を継代してみよう。
◆日 時: ①8月17日(水)~8月19日(金)
②8月22日(月)~8月24日(水)
③8月25日(木)~8月26日(金)
④8月29日(月)~8月30日(火)
⑤9月14日(水)~9月16日(金)
同じ内容で、5回に分けて行います。(受講者確定済み)
2022年7月13日 / イベント
研究医養成コース
第2回技術セミナーの開催いたします。
◆対象者:研究医養成コースに在籍し、セミナー受講を希望する学生
◆日 時: 参加人数に応じて複数回実施予定
◆申 込:次のURLから申し込んでください。
https://chouseisan.com/s?h=b1c550b5bed0404d94684e8b668b74e0
・名前欄に名前と学籍番号を入力し、都合を選択(〇△×)してください。
・コメント欄に、第1希望、第2希望、第3希望を記載してください。
(もし参加可能な日が限定される場合は、その旨を記載してください)
◆申込締切:【7月25日(月)13:00】締切厳守
2022年7月13日 / イベント
参加者を募集します。
まだ予定がはっきりしないが、できれば参加したいと思っている方は、その旨をお知らせください。参加希望を出したからと言って参加を強要するものではありません。初めての人も大歓迎です。
お友達とお誘いあわせの上、是非ご参加ください。
2022年7月5日 / イベント
2022年度 第1回 輪読会を終えて
短い梅雨のさなかでしたが、晴れて暑い日だった、6月23日(木) 16:30~18:00、 2022年度 第1回 輪読会が開催されました。
この日は、冒頭10分を使って、論文のAbstract をその場で配布して読んでもらうという初めての試みを行いました。今回はVoss WN et.al. Prevalent, protective, and convergent IgG recognition of SARS-CoV-2 non-RBD spike epitopes. Science. 2021 Jun 4;372(6546):1108-1112 のAbstract のみを参加者に配布し、5分間で読んでもらった後、読み方のコツと解説を行いました。今年は、この試みを続けていくつもりでいます。これについては、是非、皆さんの率直なご意見をお聞かせください。
その後、本題の論文紹介へと入りました。
一人目は、3年生の林朋樹さんが
Wang C et.al. Selective removal of astrocytic APOE4 strongly protects against tau-mediated neurodegeneration and decreases synaptic phagocytosis by microglia. Neuron. 2021 May 19;109(10):1657-1674.
を丁寧に読み解き、解説してくださいました。長文で、非常にデータの多い論文でしたが、短時間に上手にまとめて要点を抑え、わかりやすい発表でした。
二人目は、同じく3年生の吉澤琢磨さんが
Zeng Q, et.al. Synaptic proximity enables NMDAR signaling to promote brain metastasis. Nature. 2019 Sep;573(7775):526-531.
を紹介してくれました。吉澤さんが、研究している内容に密接に関連する論文とのことで、十分理解した論文を端的に要約して、みんなにわかりやすい言葉で発表してくれました。
それぞれの発表に対して、視聴側の学生さんから、とても良い質問が多く出され、それらに対して、的確な回答がなされたことから、みんなの理解がより深まったものと思われます。
今回は、全部で11人の参加がありました。今年から、研究医コース以外の医学科全般の学生さんが参加できるようになり、お一人参加してくれました。この輪が広がっていくことを望みます。第2回は夏休み期間ですので、今回参加がなかった1年生にも、また、その後は忙しくなり参加がより困難になるかもしれない上級生にも、広く参加を呼びかけていこうと思います。
発表者も大募集中です!
文責:谷浦
2022年7月4日 / イベント
2022年度 第1回 技術セミナーを終了しました。
研究医養成コースの低学年の、昨年のこのセミナー未修の方を対象とした、第1回技術セミナーを4月22日、27日 及び 6月2日、7日、9日、13日の計6日間、開催しました。
今年は、会場となる人体病理学教室の移転が5月にあったため、このような開催日となりました。 内容はいずれも実験の基礎 ‘基本のき’と題して、実験に際して最低限理解しておくべき注意事項、測定容器の目盛りの読み方、ピペットエイドとマイクロピペットの使い方の講習と、「タンパク定量」の実技演習でした。4月は研究室配属前の1年生8人が参加してくれ、6月には配属は決まったがまだ本格始動していない1年生6人、学士入学の方々を含む2 年生4人と、夏に国内留学を控えた3年生1人、総勢19人が参加してくれました。
みんな熱心に聞いてくれ、実験にも意欲的に取り組んでくれました。実技演習では、ほとんどの人がパーフェクトに近い検量線を書くことができ、また、未知試料の濃度測定もおおむね正確に行うことができました。実際に一連の作業を完結することで、操作が身についたのではないかと思います。
受講後アンケートでも、興味深かった、今後の研究に役立つと思うという意見を多くいただきました。参加者の中には、既に、所属教室の方で毎日研究に励んでおられる方や、入学前に研究に携わっていた方が何人もおられましたが、その方々からも既に知っていることだったが、再認識できて有意義だったと言っていただくことができました。コロナ禍で高校時代の実習がなくなったり、実習はあったが分担制だったりと、自分が手を動かす機会がなかった人が多く、実技実演を楽しんでもらえたようです。
他の技術も学びたい、より応用的な技術を知りたいとのアンケートの意見にできるだけ応じていきたいと思いますし、今後のセミナーが、学生さんにとってより有意義なものとなるよう、努めていきます。
また、長期に渡って複数回のセミナー開催となりましたが、無事執り行えたのは、学生課の方々など、皆さまのおかげと感謝しています。
第2回技術セミナーは、夏休みに、培養細胞からのタンパク調製とウェスタンブロットという内容で開催したいと思っています。たくさんの学生さんの参加をお待ちしています。
文責:谷浦
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