医学・看護学教育センター
Education Center
for Medicine and Nursing
2023年度 第2回 輪読会を終えて
去る、8月9日(木) 16:45~、2023年度 第2回 輪読会が開催されました。今回から、6階のサイエンスカフェでの開催となり、学生課さんが用意してくださったTully’s coffee の Ice Teaに加え、パンを用意し、食べながら参加していただけました。参加者は1年生2人、2年生3人、4年生2人と5年生が1人の計8人に解剖学講座の勝山先生が加わってくださいました。
冒頭10分を使って、恒例となった論文Abstract の読み合わせを行いました。‘Single-cell spatial immune landscapes of primary and metastatic brain tumours‘ という今年、Nature に収載されたものですが、内容はシンプルで、典型的なAbstract の構成であると思って選びました。
今回の発表者は、1名で、2年生の山本哲哉さんが「Nietzsche and the Sculptural Sublime: On Becoming the One You Are」の論文をもとに、「『哲学』はいったい何色をしているのか?」と題して、二項対立について、哲学のアプローチの仕方について、また中世の文献学が及ぼした影響についてなど、おそらく多くの参加者が初めて聞くような、哲学についての興味深い話を分かりやすく論じてくれました。質疑応答も異色の、答えのない問いもあったかと思いますが、盛り上がり、最後は勝本先生が、ご自分の研究テーマに絡めて、白熱した議論を展開してくださり、時間があれば、まだまだ聞いていたいような盛会となりました。
このように分野の異なる発表は、学生さんにとっても私たちにとってもいい影響を与えてくれたと思います。
今回、試験終了から間がなくて、準備が大変だったとのことでした。来年はもう少し時期を考えたいと思います。夏休みにもかかわらず、集まってくださった学生さん、先生方に感謝します。
文責:谷浦
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2023年度 第2回 技術セミナー を終えて
研究医養成コースの低学年の学生を対象とした、本年度 第2回の技術セミナーを8月上旬から9月中旬までに計14日間、開催しました。1回のセミナーは連続しない2日間という日程で行い、1年生 10人、2年生 2人の 計12人 が
参加してくれました。テーマは昨年の第3回で扱った「DNA/RNAの取り扱いと形質転換」としました。遺伝子組み換えを含むため、120分の講義ビデオを視聴して、遺伝子組み換え取り扱い従事者の申請をした人が参加できる、
ややハードルの高いセミナーでしたが、参加希望者全員が、夏休みにもかかわらず、しっかりと講習を受けて、参加してくれました。
内容としては、株化細胞からのRNA抽出、RT-PCRによるcDNAへの変換、そのcDNAを鋳型とした目的配列DNAのPCRでの増幅、さらに、Vector への組み込みと、形質転換、プラスミドの精製と制限酵素処理産物のアガロースゲルでの解析、それに加えコンピーテントセルの調整と、一通りの実験操作を体験してもらいました。
皆さん、真剣に取り組んでくれて、大いに手ごたえを感じました。受講後のアンケートでセミナーの内容についての問いには、初めて知ることが多く興味深かった、もしくは、既に知っていることが多かったが再認識できて有意義だった、と言っていただきました。また、9割の方が、今後の研究に役立つと思う、ある程度役立つと思う、と回答してくれました。
🟠🟠自由記載欄には、🟠🟠
など、楽しく参加し、有意義に感じてくれた学生さんの声を聴くことができました。
前準備が大変だったり、機材器具が必要だったり、大変な面もありましたが、学生さんが喜んでくれて、十分に報われました。春休みに行うタンパク質を取り扱う第3回の技術セミナーにも多くの学生さんが参加してくれるよう、働きかけたいと思います。
文責:谷浦
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🧫2023年度【研究医養成コース】第2回技術セミナー🧫
「テーマ:実験の基礎 ‘DNA編’」を開催します。
🔵🔵研究医養成コースに在籍する学生を対象に開催します。🔵🔵
⭐詳 細 ⭐
◆日 程:8月7日(月)~8月10日(木)および8月18日(金)~9月15日(金)の
平日のうち、希望する連続しない2日間。
(菌の培養に要する時間が必要なので中1日以上空ける必要があります。)
◆時 間:2日間とも9:30~17:00
◆対象者:①と②すべてに該当する方
①研究医養成コースに在籍する1・2年生
(希望する場合は、それ以外の学年でも参加できます)
②参加する日までに病原体等取扱講習会を視聴できる人
(Webclassより視聴してください。)
・所要時間前後編合わせて約100分程度
◆概 要: 培養細胞から抽出したRNAをRT-PCRによりcDNAに変換し、
それを鋳型として特定のタンパク(cyclin D1)をコードする
DNAをPCRによって増幅し、プラスミドに組み入れてクローニングを行い、
プラスミドのミニプレを行います。
プレートの作り方、コンピーテントセルの作り方、アガロースゲルの作り方等、
できる限り、体験していただく予定です。
🚩スケジュールはWeb Class から確認してください。
◆定 員:1回につき2~3人
◆申込方法:Web Classより、第1・第2・第3希望日を入力してください。
🍉詳しくは当センターまでご連絡ください。
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2023年度 第1回 技術セミナー を終えて
研究医養成コースの低学年で、このセミナー未修の方を対象とした、本年度 第1回の技術セミナーを5月18日、19日、25日、30日、及び 6月1日、6日、の計6日間、開催しました。 内容はこれまでに2年行ってきたものを踏襲し、実験の基礎 ‘基本のき’と題して、実験に際して最低限理解しておくべき注意事項、測定容器の目盛りの読み方、ピペットエイドとマイクロピペットの使い方の講習と、「タンパク定量」の実技演習でした。ほとんどが研究室配属前、また、配属は決まったがまだ実験は行っていない学生さんで、1年生12人と学士入学の方を含む2年生5人の、総勢17人が参加してくれました。
実験は全く初めてという方から、前の大学で研究をしていたという方まで、さまざまでしたが、経験のある人も、初心に立ち返ってセミナーに臨んでくださり、皆、熱心に話を聞き、実際に手を動かして、体験してくれていました。先輩が後輩にアドバイスしてくれたり、友達同士で確認しあったりと、交流も見られました。実技演習では、ほとんどの人が、きっちりと検量線を書くことができ、また、未知試料の濃度測定もおおむね正確に行うことができました。実際に一連の作業を完結することで、操作が身についたのではないかと思います。90分以内に収めるのは容易でなく、計算が宿題となった人がいたり、かなり時間延長してしまった回があったりしましたが、皆さん最後までしっかりやり切ってくれました。
受講後アンケートでは、興味深かった、今後の研究に役立つと思うという意見を多くいただきました。少人数でのこのような基礎技術の習得は、貴重な体験だと喜んでもらえました。
今年で3回目を迎え、研究医コースの学生の研究への第一歩として定着してきたのであれば嬉しく思います。研究を始める前にもっとも基礎的な操作を身に着けることができるこのセミナーが、配属先での研究の一助になれば幸いです。参加した学生さんには、研究は楽しいと感じ、研究を長く続けてくれることを希望します。そのために、今後も技術セミナーが、学生さんにとってより有意義なものとなるよう、努めていきます。
第2回技術セミナーは、夏休みに、DNA/RNAの取り扱いと形質転換をテーマに、第3回 技術セミナーは、春休みに、培養細胞からのタンパク調製とウェスタンブロットという内容で開催したいと思っています。たくさんの学生さんの参加をお待ちしています。
文責:谷浦直子
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2023年度 第1回 輪読会を終えて
去る、6月15日(木) 16:45~、2023年度 第1回 輪読会が開催されました。今回から、飲み物の提供が可能となり、Tully’s coffee の Hot coffee と Ice Tea を用意していただきました。参加者は1年生13人、3年生と5年生が各1人の計15人。2年生が解剖の試験前日で参加が困難な状況であったことを考えると、まずまずではなかったでしょうか。
冒頭10分を使って、恒例となった論文Abstract の読み合わせを行いました。 “Low levels of monkeypox virus-neutralizing antibodies after MVA-BN vaccination in healthy individuals.” Zaeck LM, et. al. ; Nat Med. 2023 Jan;29(1):270-278. 今回は1年生にも親しみやすそうな題材を選んでみました。
一人目の発表は、1年生の宮崎壮順さんで、Cecchetto C, Aiello M, Gentili C, Ionta S, Osimo SA. Increased emotional eating during COVID-19 associated with lockdown, psychological and social distress. Appetite. 2021 May
という、非常に身近で興味ある題材の論文を紹介してくれました。スライドがカラフルでデザイン性があり、内容がわかりやすく、堂々とした発表でした。
二人目は、同じく1年生の長谷慎太郎さんがMathys Blake A. and Lockwood Julie L. 2011Contemporary morphological diversification of
passerine birds introduced to the Hawaiian archipelagoProc. R. Soc. B.278 2392–2400 という、生態系についての発表をしてくれました。この輪読会では珍しいテーマではありましたが、背景から詳しく説明してくれた上、わかりやすく発表されたので、みんなよく理解できていたと思います。スライドもわかりやすく、立派な発表でした。
それぞれの発表後に行われた、視聴側の学生さんとの質疑応答により、理解がより深まったものと思われます。発表の時間の目安は伝えてありましたが、当日、時間制限をかけなかったことから、お二人とも長めの発表となりました。時間が押してしまって、質疑応答に十分な時間をさけなかったので、次回からは気を付けようと思います。
次回の輪読会は夏休み期間ですので、今回参加がなかった2年生にも、また、研究医コース以外の学生さんにも多く参加を呼び掛けていこうと思います。嬉しいことに、発表を希望する学生さんが続々と応募してきてくれています。輪読会を益々盛り上げていけたらと思います。
文責:谷浦 直子
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